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夜桜四重奏~ツキニナク~でやっと俺たちのヨザカルが帰ってきたよ^^

コミック夜桜四重奏第16巻付属OVA夜桜四重奏~ツキニナク~第三話」(制作:タツノコプロ)みますたよ

いやー、これですよこれ、これが本物のヨザカル。ツキニナク1話2話はグロス回でしたし、りょーちも監督がテレビ版ヨザカルにつきっきりでしたからね

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本気を出してる顔

 

・飛ばしていいヨザカル紹介

「デュラララ!」や「デビルサバイバー」のイラストで有名なヤスダスズヒトさん原作の漫画。掲載誌の月刊少年シリウスでは絶対的エースであるらしい(そもそもこんな雑誌があること知らなかったわ)。

妖怪と人間が共存する桜新町を舞台に女子高生の町長とハタチくらいのなんでも屋さんの青年とその仲間たちが「こんな世界なくなっちゃえばええねん」系の悪人から町(世界)を救うべく活躍する話。笑いあり人情ありアクションあり、大量のパンチラと露出狂が跋扈する漫画である。

2008年にノーマッド制作でTVアニメ化するも設定や雰囲気の改変がファンに受け入れられなかったらしい。

2010年今度は設定を原作準拠し、人気のエピソードをコミック付属OVAとしてタツノコプロ制作で「夜桜四重奏~ホシノウミ~」アニメ化。監督はノーマッド版の松尾監督がスケジュール都合で折り合いがつかず、原作者ヤスタスズヒトの推薦もあり、キャラデザ兼任でりょーちも氏が選ばれる。というか監督、音楽、主題歌、美術などヤスダスズヒト講談社プロデューサと共に直接交渉してスタッフキャスティングしている。前々からファンであったり知り合いだったりするらしい。

コミック付属OVAらしからぬハイクオリティにちょっとだけ人知れず話題になる。キャラデザは原作と違いすぎるとの不評もあったが、りょーちもアクションに魅せられ、ヤスダスズヒト自身の推薦ということもありファンは納得したっぽい。好評のまま全三巻を終え、売上の上々もあり打ち上げ時点でテレビアニメ化が動き出した。

2013年「夜桜四重奏~ハナノウタ~」テレビアニメ化。OVA版と同スタッフで脚本作画にヤスダスズヒト本人が参加している。OVAに劣らぬクオリティやデジタル作画でちょっと話題になるが売り上げはお察し(知ってた)。

テレビ版と同時に同スタッフでコミック付属OVA夜桜四重奏~ツキニナク~」制作される。おそらくアニメ制作の遅れにより発売延期されていた第三話がこのたび発売され完結した。

 

 

 ・なぜ「夜桜四重奏~ツキニナク~三話」こそ真のヨザカルであるのか

グロス回だから出来が悪いなんてことは無いけど1話2話はやっぱ期待とは程遠かったと誰もが思ったはず

でも3話はやっとりょーちも監督の絵コンテ演出&タツノコ主戦級ですからね

だから期待通り

いや期待以上

いやいやヨザカル史上最高の出来だったかもしれないような、いやでもホシノウミ時点の方が、いやいやテレビ版もすごかったし、えーと(曖昧な記憶)

 

でもやっぱこのツキニナク3話は凄い

とにかくなぜこの3話が真のヨザカルたりうるのか理由を述べよう

①劇場版アニメーションの心づもりで制作されている

まさかのシネスコサイズ(画面上下に黒幕あり)である

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開始約8分後から約10分間ほどシネスコサイズで作られているのだが、当然演出として視聴者の集中を高める狙いだとは思うがそれだけではない

このアニメがOVAではなく劇場版アニメと同レベルのクオリティであるという制作者の自信のあらわれと挑戦状と考えていいはずだ

 

だって実際に完全に劇場版アニメーションレベル超えてるもん

いや比較対象がどれなのかってのはあるけどさ、一般論でね

 

 

②ヨザカルといえばアクションである

OVAホシノウミからヨザカルの見所はアクションであったし、そもそもヤスダスズヒトからのオーダーがアクションに力を入れることだったはず

そしてツキニナク3話はシネスコサイズ10分間ほぼずっとアクションシーンである

長けりゃいいってもんじゃないが、やっぱ長いのは嬉しいことなのだ

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③あたらしいアニメーションへの探求。それこそがりょーちも監督の本質

そもそも名物アニメーターと呼ばれる人はすでに他人にマネされる立場なわけで(他人の技術の吸収は行いつつも)自分の技術の向上を望むとあたらしい表現を探求するものだ

特に動画を飛ばして原画としてデビューしたWEB系アニメーターのパイオニアであるりょーちも、沓名賢一、山下清悟は松本憲生、うつのみやさとるといった大物に師事していたこともあって商業的なやり方より芸術家に近い方法を好んでいる

そんな中、りょーちも監督にとって初監督作品となったヨザカルは自然と実験的な側面をもった

OVAホシノウミは全て自分の絵でまとめるという実験(全作画を自分の手法でコントロールする)

TVハナノウタはデジタル作画でまるまる1話完成させるという実験(制作手順を自分の手法でコントロールする)

 

そしてOVAツキニナク3話は作画監督としてではなく演出担当として自分の映像感覚でまとめるのに加え新たなアクションシーンを生み出す実験を行ってる(はず)

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色使いやフィルターなどは情報量を落とす方向に撮影処理しているのかな

カットごとに作画はバラバラだけど演出・撮影処理やタイミングが統一されているから違和感があまりない

 

 

そして問題のアクションシーン(原作漫画には無いアニメオリジナル追加シーン)

おそらくロトスコープを利用してるんですけど、めっちゃカメラ動いてるんです。このシーン

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カメラが動いている映像をロトスコープするのってあんまり見ない気がする

ほんとのところどうやって作ってるのか分からないんでロトスコープとは違うのかもしれないけど実写をコマごとに印刷して参考にしてるのは間違いないはずなんです

大抵のアクションシーンは基点となるカッコいい絵と動きを視聴者に脳内補完させる中割りで構成されてるんですけど

このカットは基点と中割りが区切られて無い(?)んですよ

 

だから地味で重くてリアルな演出効果を上げてる

快感や不快感とは別の方向性というのかなぁ

ロトスコープだからリアルとかではなくて、このカットだからリアルに感じる手法というか

とにかく新しい感覚

 

 

他にも8コマくらいまで落とすカットがあったり

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3コマ→8コマ(?)→3コマみたいな変化でスピード感だしてた

(正直最初は画面がバグったのかと思ったくらいカクカクしたよ)

 

 

中割りが効いたアクションも多かった

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このあとロトスコープっぽい個所に移行するのね

 

 

珍しいレイアウトや背景や破片の作画も見所多い

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あとは「人質に気を取られて敵に殴られる」シーンがあるんだけど

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↑悪い人ね。人質を盾にすんの

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↑一瞬しか映らない人質。まじで見えないくらい一瞬。つーか初め見たときは気付かなかった

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↑気とられちゃうのん

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↑殴られてーら

 

まじで気づかねーよ。サブリミナルだよ。2回目の視聴時にびっくらこいたよ

これ気づかないと何故か目を逸らして殴られたように感じると思うんですけど

人間の脳は無意識下で理解できるもんなんでしょうかね

 

 

と、まあ新しい表現を探求する。これこそりょーちもイズムなりよ^^

(まあ原画担当のアイデアかもしれないが……)

もちろんこの3話は情感もあったり可愛い女の子の絵もあったり全体的にも優れた傑作でした

 

 

ほんと

これが見たかったヨザカルだよ。゜。゜(ノД`)゜。゜。

ありがとう、りょーちも監督、タツノコプロ

ばけもの